2009
06
30

「お台場ガンダム」は超精密な実寸大プラモだった!?

Project_RealG.jpg

先日もお伝えした「お台場ガンダム」ですが、とても興味深い同プロジェクトの紹介映像が Yahoo!Japan にありました。
外装を「繊維強化プラスチック(FRP)」で作成した、1/1ガンダム・プロジェクトをダイジェストでお伝えします。

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G30thプロジェクト総合プロデューサーの宮河 泰夫 (株式会社サンライズ 常務取締役) 氏によれば、この一大構想は'08春に始まり、同シリーズの富野監督を交えた様々な構想会議を経て'09年の3月11日の記者発表となった模様。

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立像ディスプレイに関わる全てを総管轄したのは、以前より幾多の実績がある「乃村工藝社」さん
http://www.nomurakougei.co.jp/
なおこのプロジェクトへの参加スタッフは、総勢で150人以上になるそうです。
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乃村工藝社「GREEN TOKYOガンダムプロジェクト 実物大ガンダム制作プロジェクト」
http://www.nomurakougei.co.jp/achievements/prosperity_project/index.html





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全体構造の主骨格(外観上の脚部に相当)となる鉄骨を乃村工藝社の千葉工場にてを仮組みし、寸法・バランスをチェック中の状況。 全高18m/重量38tにも及ぶ全身を支えるのが、この直径約 81cm の円柱状鉄骨。
(鉄骨構造材の製作は三水鐵工株式会社 http://san-sui.info/ によるもの。)

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比較映像:上の画像とは表裏逆の構図ですが、現場における外装組付け中の主骨格部。

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基礎の上部構造材となる鉄骨組み。 (「仮組み」映像で地面上に見える、鉄骨枠部分)

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施工中の基礎部分。

なお建造には「埋め立て地である地盤の弱さ」「海沿いである風の影響」そして「終了後の現状復帰」が難点だったようで、基礎には「杭」構造による設置も検討されましたが、結論としてはなんと僅か「30cm厚の鉄筋コンクリート床板材」による基礎とのこと! 実際には画像の「鉄骨枠」も基礎構造に加味されるようですが、この巨大建造物に対しての、その巧みな構造計算には驚かされます。





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こちらは単体で高さ5mにもなる、上半身の鉄骨材による骨格。なんとなく外観ラインが掴める感じ。




ちなみに実物大への立体化にあたっては、実際に小型模型(1/30スケール)を制作し幾度もの検証を経て決定されたそうです。
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元がアニメ画であるため「設計図」となるものは一切なく、30年の歴史を踏まえてファンの誰もがイメージできる「最大公約数」的なデザインを検証していったとのこと。
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小型の縮尺スケール模型や画・写真を見る感覚と「巨大な実物を直接目にしたイメージ」は大きく異なるはずでして、プラモデルのような模型の世界では「デフォルメ」という「単純な縮尺ではない誇張表現」を用いることが普通です。
それらを踏まえて「実物大ガンダム」を見るに、膨大な検証が素晴らしい結実となっている気がします。



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外観となるFRP部分は、タイの工場で中密度繊維板での木工による実物大の原型製作と、それを「型」としてのFRP整形が行われ、最終的に日本での塗装・仕上げが施されたとのこと。

なおこの高度で長大な施工が日本ではなく「タイの工場」が選ばれていたことに、個人的には少々驚かされました。
「技術的には」国内での作成も可能ではあるようですが、製造キャパシティなどの問題から「20mクラスの造形物を造れる、十分な規模や実績」を持つタイ工場の選定となったようです。 船便輸送での時間や手間など、短時間では修正の利かないこの施工に選定されたということは、既に高い信頼性のある技術・能力を持っているのでしょう。


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なお外観塗装はウレタン系塗料とのことでしたが、一時的な現場合わせではなく、どうやら「ガンダム専用調色」があるようです。(最終指定には3ヶ月もの期間を要した、富野監督こだわりの「ガンダム・カラー」
塗装作業も「色を吹き付けるだけ」の簡易なものではなく、トップクリアの積層や水研ぎなど、クルマ塗装レベルの仕上げとなった模様です。

なお同塗料はクルマにも塗装可能なので、もしかしたら板金屋さんに依頼(色番号としてカタログ存在するのか不明ですが、メーカーには調色比率のデータがあるはず。)すれば「リアルガンダム・カラー」のクルマ塗装が可能かもしれませんね。
DNT大日本塗料株式会社の「Vトップ」
http://www.mko-kikaku.com/toryougaido/dnt/toryou/v-top.htm

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実物からも明らかですが、各パーツの塗装後には模型同様に「スミ入れ」や「デカール貼り」も行われています。 ガンプラファンの皆さんには興奮のショット?



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リアル感を高めるための施工には、乃村工藝社 さんの提案もありバーニヤなどの部位から「煙(ミスト)」が発生刷るようになっています。 (画像は「バーニヤ・ミスト」のテスト風景。霧+照明とは思えないほどのリアル感!)

噴射装置を担当したのは「スプレーイング・システムス・ジャパン株式会社」さん。
http://www.spray.co.jp/
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ミスト装置の施工場面ですが、想像をたくましくするに実際の整備風景のようですね。





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同じくリアルさの追求で生まれた、頭部を動かすモーター部品。 総重量300kgもの重厚な装置です。
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実作動では、ここまで仰ぎ見る動きも可能!




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ディテールの追求では、300個以上もある詳細パーツの作成を「株式会社 玄翁堂」さんが担当しています。
株式会社 玄翁堂 http://www7.ocn.ne.jp/~genno-do/
設計から施工まで、驚異の精密さです!
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完成後は殆ど見えなくなる部分でさえも、高度な追求。模型製作する方なら、良く判りますよね?




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主骨格部への、脚部外装組み付けシーン。

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上半身・腕/肩部分への施工も同時進行で行われています。


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上半身・腕パーツの架装へ!いよいよ形になってきました。


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偶然にも、1stガンダム最終話での形態が再現される形に!



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上半身パーツは同時進行で施工が進められていたため、一気に本体が組上がります。


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細かな調整・追加施工があるものの、ほぼ完成した1/1ガンダム!
天候や時間帯によって、目に映る姿も変化するのが「実物」最大の証明かも。
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大変失礼ながら「一時的な設置」ということもあり、コレを見るまではもう少し「やっつけ仕事」なイメージを持っていました。
見知って驚いたのは、高度なこだわりと精密な作業・そして僅か一年弱で達成された強力なプロジェクト推進力です。
単に「ガンダム・ファン」でなくとも、このプロジェクト詳報は必見の映像と思いますし、あるいは将来これらの職業に興味を持つ方への参考となり得るかもしれませんね。



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Yahoo!Japan 「1/1実物大ガンダム大地に立つ!」より
毎週木曜(次回は7/2日)更新です。7月23日迄の配信ですので、お見逃しなく!
http://recommend.yahoo.co.jp/silverlight/gundam/






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