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2010
06
20

中朝国境の 「白頭山」 が数年内に噴火の予測

Mt_Redoubt.jpg
参考画像: '09 年に噴火した、アラスカのリダウト山( Mt.Redoubt )

19 日付の韓国メディアが一斉に報じたところによれば、中朝国境上にある「白頭山」(朝鮮名:ペクトゥサン / 中国名:長白山=チャンパイシャン)が「数年以内に噴火する可能性がある」という国内外専門家の予測を明らかにし、韓国気象庁は「国家レベルの災難に対処するという観点から、対策を準備する」と発表しています。

今春のアイスランド・エイヤフィヤトラヨークトル火山噴火~火山灰による欧州航空線の麻痺が記憶に新しいところですが、もし白頭山に大噴火が起これば、その火山灰量はアイスランド火山噴火の約1000倍にも達し、「世紀の大災害」になる恐れが高いとのことです。
「白頭山」は、中国と北朝鮮の国境線(北緯41度01分、東経128度05分)にまたがる、標高 2,744m の楯状火山
Mt_Pektu.jpg
Google Earth 上の白頭山。赤線は '64年の朝中辺界条約に基づく国境線(線の左側=中国・右側=北朝鮮領)

同山は朝鮮半島地域の最高峰であると共に、朝鮮民族や満州民族の霊山・聖地としても知られています。
Changbaishan
同時に一帯には数多くの滝や温泉もあり、数百種に及ぶ原生動植物など自然の宝庫であることからも、多くの観光客を集める風光明媚な場所となっています。


中国側からは観光地としての整備も進み、現在日本からの観光ツアーなども、主にこちら側からとなるようです。
Tourist_Routes_of_Changbaishan_Skiing.jpg
画像:スキー場としての長白山(中国側)観光マップ
中国政府は白頭山と同地域(吉林省)にて、2018年冬季オリンピックの招致に立候補することを表明しています。


山頂には、「天池(朝鮮語でチョンジ)」と呼ばれる美しいカルデラ湖があることでも有名です。
Lake_Chon.jpg


一方で、カルデラ湖の存在は過去の大噴火~山頂崩落によって形成されたもの。
Mt_Pinatubo.jpg
参考画像: '91 年ピナトゥボ山噴火における山頂と、その後に発生したカルデラ湖


確かに、白頭山は過去約100年周期での噴火を繰り返しており、前回の噴火は1903年と記録されています。
また、 '90年代末頃からは周辺地震や山頂隆起、火山性ガスの増加などから再噴火の危険性が懸念され始めていました。

'02 年以降にはその顕著な増加が見られ、従来の10倍近い山頂隆起が確認された '05 年に「いつ大地震が起きてもおかしくない状態」とされ、 '06 年秋にはロシア非常事態省も「白頭山に噴火の兆候がある」と発表しています。
非公式ながら、中国地震局によればマグマは「天池」の下 10 kmまで上昇しているとされ、東北大学(日本)の谷口教授も「時期を正確には予測できないが、近い未来に起きると言ってもおかしくないといえる諸現象が現在起きている」との見解を持っているようです。

今回再噴火の可能性が急浮上した理由の一つには、今年2月の中国・北朝鮮・ロシア国境地域に於けるマグニチュード 6.9 の強い地震発生もあるようでした。
EQ_Feb18th_2010.jpg
震源:北緯 42.7 度、東経 130.9 度 しかし地下 573 km と非常に深く、地上での震度は微弱だった


関連情報
朝鮮日報の分析よれば、朝鮮半島域における地震発生件数は
「 '80 年代の 157 回」⇒「 90 年代の 259 回」⇒「 '00 年代の 436 回」と急増中。
'09 年には韓国気象庁の観測史上最多の発生回数を記録し、今年も同様のペースを記録しているとのことです。



大規模な再噴火が現実のものとなれば、周辺では甚大な被害が予想されます。
中国の専門家は「半径 60km 以内の約 10 万人が大きな災害に遭う」とも言及しているようです。
G_Earth_MtPektu.jpg
Google Earth による、白頭山と周辺国の位置関係


もちろん、偏西風によって北東北~北海道など日本へも膨大な火山灰がもたらされると予測されます。
また、その規模によっては、地球レベルでの気候変動が懸念されるかもしれません。
G_Earth_JetST.jpg
再噴火なら、歴史文献~地質調査からも、偏西風によってもたらされる日本への火山灰影響は必至


ちなみに 10 世紀( 969 ± 20 年;中国の五代十国~北宋・日本の平安時代)に起こった白頭山最大の噴火調査研究によれば、その噴出量は過去 2000 年の人類史上において世界最大級とされ、約 1000km 離れた日本の北東北~北海道に数センチの火山灰層を形成したとのこと。
当時同山の周辺地域に隆盛した、渤海国滅亡の引き金となったという学説もあるほどです。
(この噴火に関する記録が主に遠く離れた日本の文献に登場するのは、直接の目撃者・文明が滅んだためとも)

Rabaul_1994.jpg
参考画像: '94 年パプアニューギニア、ニューブリテン島ラバウルの火山噴火による被害


その量単位を日本での近年例に当てはめると'91年~の雲仙普賢岳噴火の300倍近くに相当し、 VEI =火山爆発指数( Volcanic Explosivity Index )での区分類は「 6 」の「巨大噴火( colossal )」に分類されます。
同分類からは '91 年におけるピナトゥボ山の大噴火と同値ですが、その総噴出量はピナトゥボ山噴火の約 10 倍に及ぶことも判っています。
ちなみに、ピナトゥボ山の噴火によって全地球規模での硫酸エアロゾル層が形成され、それは地球の気温を約 0.5 ℃押し下げると共に、著しいオゾン層の破壊をもたらしました。





近年は大地震や火山の噴火が世界中に相次ぎ、地震・火山列島でもある日本での危機感も覚えますね。
ふと、白頭山の 10 世紀噴火と同規模の噴火が富士山で起こったら?を想定してみました。

調査研究によれば、 500 ℃以上の高温火砕流が全周 50km の範囲を平均 1m もの厚みで覆い尽くしたそうです。
MtPektu_on_GMaps.jpg
地形を際立たせる降雪等によって、 Google マップ衛星画像からも、その一部が見取れます。


eruption_Mt_Pektu.jpg
でも周辺地域に疎い我々にとっては、この情報を Google マップに当てはめてみてもピンと来ませんが・・・



しかし、同じ情報を富士山に対し照合したところ、恐ろしい事に気付かされました。
eruption_Mt_Fuji.jpg
富士吉田~御殿場~富士宮市はあっという間に火砕流に飲み込まれ、甲府~小田原~沼津市も程なく壊滅することになってしまいます。

また、火砕流による直接被害が無くとも 10 時間以上に及ぶ噴火は広範囲に 1m 程度の堆積物をもたらしたそうです。
膨大な火山灰と、それに伴なう土石流は北に約 450km 離れた中国吉林市にさえ厚さ 1m もの堆積物を残しており、当時の被災がいかに広大・甚大であったかをうかがい知ることが出来ます。

ClarkAB.jpg
参考画像:ピナトゥボ山噴火における、約 40km 圏の旧米軍クラーク基地周辺
10 世紀の白頭山噴火では、この 10 倍量の噴出~降下物が生じている

火山灰は5cm程度の堆積でも雨水を含むことで家屋の倒壊等を引き起こすとされ、山梨県北杜市~相模原市~伊東市・静岡市も数時間で高度な危険域となるでしょう。
首都圏も例外ではなく、 1 ~ 2 日中には多大な影響が出ることが容易に予測できます。

あくまで単純スライド仮定させたお話でしたが、自分自身が驚きました・・・。



ところでパニック映画「 2012 」では、米国本土の崩壊がイエローストーン国立公園から始まっていましたね。
映画そのものは荒唐無稽なパニック・アクションでしたが、現実に 2010 年 1 月以来、イエローストーンの火山観測所は既に 1000 回以上の群発地震を記録しています。

そしてイエローストーン・カルデラは長径 70 km 、短径 45 km にも及び、もし大噴火したら地球環境を大きく変え、人類の存亡すら危うくさせる可能性のある「超巨大火山(スーパーボルケーノ: Supervolcano )」だったりもします。


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5 いろいろな意味で考えさせられる・・・



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