2010
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世界初の市販電気自動車 i-MiEV(アイ・ミーブ)体験

iMIEV.jpg
神奈川県警の車両として実証試験される予定の i-MiEV (画像は合成)

自動車業界では、今やプラグイン=ハイブリットや電気自動車といった EV 関連の話題が目白押し。
他国に先駆けた技術の需要見込(他社 OEM 供給含む)も出てきたりして、経済効果への期待も高まっているご様子。

そんな中、身近に「三菱 i-MiEV (アイ・ミーブ:世界初の市販プラグイン電気自動車)」の所有者が居らっしゃったことから、何度か借りることが出来ました。
「ちょっとした試乗じゃない、実用の雑感レポート」をお届けしてみます。
○入手価格
現時点での公表では「税込で 398 万円」でしたが、概ね「頭金約 320 万円+月々 5000 円」での「 5 年 リース」というのが通常の入手方法となるようです。
また、「頭金ゼロで月々約 5 万円」という方法もある模様。
(いずれも各種補助金対象とする条件:ユーザーは申請等の心配無用)

ただし、全て「リース」であって「購入」でない点には留意が必要。
一般個人での入手なら関係ないとは思いますが、法人等によっては減価償却の扱い(=支払い方法)を事前に検討してから契約すべきかも?
なお、同車は EV 以前に「 i (アイ)とほぼ見分けがつかない軽自動車」ですので、正直なところ現実体裁などが額が見合う?という点も考慮された方が良いかも知れませんね。


☆動力性能
加速などの動力性能については、排気量 2L 前後のガソリン車に遜色ないと感じます。
当たり前ですが、モーター駆動ゆえ「エンジン音が高まりや(モーター音はやや高まる)タイムラグもなく、力強く滑らかに加速」することが何より感動的でした。
ただ、外観などが軽自動車「 i (アイ)」そのものなので、良い方向で期待を裏切っているのかも? 具体的な現実の「加速感」としては、同ツインカム・ターボ車より少し速い?ぐらいかもしれません。

また個人的には、同車の「走る・曲がる・止まる」感が良好なことにも感心。
もともとのベース車自体が良好バランスのミッドシップ・エンジン車でしたから、同様の重量配分となる i-MiEV も良好なのでしょう。
imiev-batterri.jpg
特にブレーキ操作感と制動感は、回生ブレーキが付いているとは思えないほどに好感触でしたよ。


☆静音性
当然のように車外では圧倒的に静かですが、各種走行ノイズやファン類の動作音もあり、室内が「ものスゴク静か」という印象は全くありません。
確かにエンジンのノイズ / 振動はないのですが、ロードノイズ等の遮音性や装備類の動作音質においては「軽自動車」そのものです。
同価格帯の車種(車両価格としては、レクサス IS 250 が買えます)なら、「同レベル以上の静粛性がある気がする」というのが正直なところでしょうか。
ただ近年のガソリン車はエンジン音そのものが静かですし、長年の経験からエンジン音等を「心地良いビート」と捉え、「騒音」とは感じないのかもしれませんね。


★実用性能
バッサリ切るなら、同車には従来の「エンジン付き自動車」ほどの実用・汎用性はありません。
「インフラ環境の不足」もありますが「充電時間」という当然の事情もあり、少なくとも「一家に一台」では実用に難ありでしょう。 法人・個人を問わず、「セカンドカー程度の位置付け」が妥当と思われます。

なお公称の最大走行距離は「 160 km 」ですが、実用上は「 100 km 未満」=日 / 数時間の充電を要しつつ、半径 30 ~ 40 km 程度の移動が「安心できる移動距離」です。 まぁケータイやモバイル PC で「最大○時間」と称する内容が、「実働△時間」になるものと同則ですね。
この点においては、「経年でどの程度劣化するのか?」も、やや心配なところ。

またこの「走行可能距離とバッテリー残量」は、常にユーザー心理を圧迫し続けます(悪い意味で「慣れ」ますが)ので、現状のハイブリッドを含めた「エンジン付き自動車には程遠い実用性」を覚悟して下さい。
iMiEV_Meter.jpg

メーターがかなり減ってくると「止まったら・・・」という恐怖感が高まりますし、以後はその経験からエアコンやヒーターなど全ての装備使用にも、残電量をイチイチ気にするようになります。
推測ですが、エアコンだけでなくヒーターの消費電力も結構大なので、寒冷地ではさらに実用性が低いとも思われました。

現実の稼働能力を心理面も含めて表現すると、「電力満タン=燃料計が残り一目盛りを指したエンジン車」が適当でしょう。

○充電設備
基本一般家庭での 100v コンセントで大丈夫ですが、同車を導入するなら「単相 200v 」を増設すべき。
※充電所要データ: 200v で約 7 時間、100v で約 14 時間※

実際には、大多数の民家に単相 200v で電気が来ていますので、概ね数万円の設備工事で専用コンセントが設置出来るでしょう。
ちなみに「深夜電力」や「時間帯別電灯」等の契約を利用したい場合は、単純な電気工事の前に電力会社との契約変更が必要です。
(最近だと、電気温水器 / エコキュート / 蓄熱暖房機などと共に契約されてるケースも多い?)
多少好意的にガソリン価格換算すれば、リッター 120 km に相当するランニングコストになると思われます。

さらに積極活用かつ充電節約したいなら、全国三菱ディーラーの急送充電器(無料)と日本独自規格でもある CHAdeMO (チャデモ)急速充電設備を随時利用されるのが一番でしょう。
iMiEV_Qcharger.jpg

一般利用可:急速充電器CHAdeMOの設置箇所 (更新:2010/10/22)
http://maps.google.co.jp/maps/ms?ie=UTF8&hl=ja&msa=0&msid=112525875866477710528.00046af5cf154a5f70efc&brcurrent=3,0x34674e0fd77f192f:0xf54275d47c665244,0&z=2

「セコイ」なんてとんでもない!「現状性能の EV には」無くてはならない、「当然のインフラ」と感じます。
CHAdeMO_manual.jpg

なお将来的には、 CHAdeMO 規格による「 5 分で 70% 」程度の超急速充電器の普及を目指すようですが、同システムは「充電器単体」では完成しませんので、あくまで「将来的な目標(車両側も対応必須)」だったりします。

ちなみに、標準の充電カプラーは別途購入すると約 8 万円!な高額品ですから、丁寧に扱った方がイイのかも?
iMiEV_Connecter.jpg
(通常使用で破損の場合、メーカー保証?ちなみに規格品なので、日産リーフとも共通のハズです)


●その他の特異点
まぁ「電気自動車」なので、当然と言えば当然。
iMiEV_Hatch2.jpg
エンジンルームには、インバーターと車載充電器& DC/DC コンバーターが鎮座します。
原型車はミッドシップ・エンジン配置ですので、車内・シート寸法等は全く同じ。
iMiEV_Connect1.jpg
なお充電関連機器は車両側にありますので、ケーブルを含めた車外設備は単なるコネクターに過ぎません。


EV 利用とはかけ離れますが・・・ i-MiEV 購入希望者と三菱 i ファンの方には興味深い?
iMiEV_MMES.jpg
メーカーオプションの「三菱マルチエンターテイメントシステム( MMES )」=ワンセグチューナー内蔵の、主記憶に SSD を利用したカーナビシステム。
どうやら「ハイグレードサウンドシステム」も同時装着となるようで、音質は割と良好でした。
ただ、このナビって停車しないと細かい路地が消えるんですよね。 まぁ実用上はさほど問題ないのですが。

i-MiEV 専用の LED ヘッドライトとテールランプ
iMiEV_LEDLight.jpg
単体部品購入出来るか?価格が幾らか?までは調べてませんが・・・
もしかすると三菱 i ファンには垂涎のアイテム?



■ EV 関連への雑感
i-MiEV に触れて感じたのは、かなりの高額車なのに、殆ど実用性がない=今は未だ「実証試験車両」 or 「お金持ちの道楽品」という印象でした。
行動範囲やルートの決まった公益車両ならともかく、一般ユーザーにはかなり縁遠い存在です。

「無段階で力強い加速」にはシビレましたが、その源が砂時計のごとくに減っていくのは酷く興ざめ。
しかもそのエネルギー源は、ガソリン=水を注ぐようには補給出来ないし、特定の場所にしか設備もない。
時流は脱エンジン化なのかもしれませんが、全国レベルでインフラが整うのは 20 年後?
同時に、一番近い可能性とはいえ「次世代=電気」なのかも大いに疑問ですね。

国内発電量の大半は「化石燃料」による火力、次いで原子力によるもの。
同時に「原油」は各種原料にも必須の輸入資源であって、仮にガソリン等の燃料消費が激減しても、原油の輸入・使用量が減るわけではない=ガソリン等が余るだけ。
先進国等で「電気」がもてはやされるのは、国家レベルでの CO2 削減量を売ることが出来る+未開の新事業=単なるマネーゲームの片棒を担ぐだけのようにも感じます。


それともう一つ。
自動車メーカーにとって、エンジンを含めたパワープラント系こそ、各社の技術力と付加価値性の証明だったハズ。
そこが同じスタートラインに立つ EV では、「テスラモータース」のような従来車両をベースとしたオリジナル EV メーカーと、従来の自動車メーカーに差がなくなってしまう気がします。
「ハイブリッドなら日本(主にトヨタですが)の先進技術」という気がしますが、 EV に独自の先進性があるか?と問われれば・・・・


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