2011
07
09

お墓にひなんします

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毎日jpより 撮影:神保圭作


「私はお墓にひなんします ごめんなさい」
南相馬市の緊急時避難準備区域に住む93歳の女性が、6月下旬にこう書き残し、自宅で自ら命を絶ったそうだ。

東日本大震災:お墓にひなんします 南相馬の93歳自殺(毎日jp 2011年7月9日より)
http://mainichi.jp/select/today/news/20110709k0000m040149000c.html

女性は死に際し、家族、先祖、近所の親しい人に宛て、便箋4通に遺書をしたためていた。
家族には「毎日原発のことばかりでいきたここちしません」
自分の両親には「こんなことをして子供達や孫達、しんるいのはじさらしとおもいますが いまの世の中でわ(は)しかたない」と詫びている。
記事には、家族あての全文と自筆の遺書画像の掲載があり、ここに引用させていただいた。

◇女性が家族に宛てた遺書の全文(原文まま、人名伏せ)

 このたび3月11日のじしんとつなみでたいへんなのに 原発事故でちかくの人達がひなんめいれいで 3月18日家のかぞくも群馬の方につれてゆかれました 私は相馬市の娘○○(名前)いるので3月17日にひなんさせられました たいちょうくずし入院させられてけんこうになり2ケ月位せわになり 5月3日家に帰った ひとりで一ケ月位いた 毎日テレビで原発のニュースみてるといつよくなるかわからないやうだ またひなんするやうになったら老人はあしでまといになるから 家の家ぞくは6月6日に帰ってきましたので私も安心しました 毎日原発のことばかりでいきたここちしません こうするよりしかたありません さようなら 私はお墓にひなんします ごめんなさい

遺書の宛名にあった知人「長寿をお祝いされるようなおばあちゃんが、なぜこんな目に・・・」
長男夫婦が記者に「おばあちゃんが自ら命を絶った意味を、しっかりと伝えてください」


ふと、峠三吉『原爆詩集』の序詩を思い出す。

ちちをかえせ ははをかえせ
としよりをかえせ
こどもをかえせ

わたしをかえせ わたしにつながる
にんげんをかえせ

にんげんの にんげんのよのあるかぎり
くずれぬへいわを
へいわをかえせ


また、関連記事リンクを拾っただけでも、震災・原発事故起因と思われる話は以下のようにある。

自宅失った男性飛び降り自殺か 岩手・山田
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/archive/news/2011/03/22/20110322k0000e040094000c.html

避難苦? 飯舘村102歳男性が自殺
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/nuclear/archive/news/2011/04/20110414k0000m040158000c.html

津波で自宅損壊の80代夫婦が無理心中か
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110617k0000e040035000c.html

家族4人不明の男性が自殺 岩手・大船渡
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/archive/news/2011/04/04/20110405k0000m040085000c.html

一時帰宅中、焼身自殺か 福島
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110702k0000m040073000c.html


原発事故とは無関係だが、震災絡みで個人的に聞いた話も載せておく。

○震災二日目の晩、岩手県沿岸部に住む友人宅へ、トラックで救援に向かった方の話。

主要な道路は寸断もしくは通行止めとなっていたため、山中の裏道を抜け深夜に現地着。
もうすぐ目的地というところで、何人もの人が路上に寝て道を塞いでいたという。
奇怪な光景にトラックを止め、何をしているのか問いただすと・・・

「家族は死に、家も流され、生きていったってしょうがない。このまま轢き殺してくれ!」

という狂乱ぶりで、いくら説得しても頑としてその場を動かなかったそうだ。
仕方なくその方は、ひとりひとり足を引っ張って路外へ引きずり出し、そこを通過したという。


○3月20日頃、同じく岩手県の沿岸部に物資を届けた方が、現地の友人に聞いた話。
「何人が津波で死んで、何人が自殺したのかなんて、俺たちにも判らない。」
「直接見た訳じゃないが、自殺はごく当然にあるはずだ。」


個々の絶望を救うことは難しいかも知れない。
ただ、その絶望を生んだのが災害ではなく、人間だとしたなら、その者達は呪われるべきだろう。
「人を呪わば穴二つ」、しかし今回希望を奪われた死者には、その権利がある気がする。



巨大津波の記録 明治・昭和・平成 (毎日ムック)

毎日新聞社 (2011-06-15)
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