2013
04
14

Windows ユーザのための Linux 最新ディストリ試用記

Ubuntu12_10_Desktop.png
Windows 8 の方向性に嫌気が差していたところに Linux の主要ディストリビューションが更新期を迎えていたこともあり、各ディストリを試用してみました。
まぁなんとなく、オープンソースのムーブメントに乗っかってみた訳ですね。

一応個人的に十年前から数年間 Linux ユーザでしたが、数年ぶりに触ったら浦島太郎な上に Windows のクセが染み付いちゃって、もうド初心者レベルでの再挑戦って感じに。
なので移行や並行運用を思索する、初級ユーザさんと同じ視点だと思います。
★初歩のアドバイス
「 Linux は Windows より軽くて堅実動作」なんて都市伝説。
Linux 初級者が「パソコンとして使う」限り、全く正反対と言っても過言じゃありません。
それと PC 自作レベルの周辺知識も必要で、その辺に疎いと苦労しますよ。
ただこれは、商用提供されてる OS ではないので、全く仕方無い話だったりします。

「 Do you read english? 」
Linux は一般に信徒の少ないバテレンの教義ゆえ、コレが必須です。
なぁに大丈夫、我々には Google 翻訳なる辞書があります。
むしろ難点は Google 先生が何をおっしゃてるのか判りづらい点です。

「 Windows で出来ることは Linux も殆ど対応する」
CUI 操作による自力構築ができる、という条件付きで YES
なぁに大丈夫、 Google 先生が導いて下さるコードをコピペでもオッケーです。

★「重い」とか「軽い」って?
一言、「要求スペック上は軽いが実働は重い」ってのが現実ですね。
ドライブやメモリリソースの消費量という観点では、 Linux は Windows と比べて確かにメチャメチャ軽い。
一方でデバイスドライバ分野では、認識や最適化など殆どの面で劣ってます。
その帰結として、実際の動作感やら CPU 等の負荷面で、実は重いんです。

ちなみに Linux には「軽量」とされる環境構成もありますが、この手でやっと Windows 並ぐらい。
著名なディストリ標準の構成だと、残念ながら Windows より全然重いのが現実ですよっと。


★試用チェックしたディストリ
Ubuntu 12.04 / 12.10 / 13.04
(同系 Lubuntu / Xbuntu 12.10 / mint 14.1 Nadia を含む)
Fedora 18 Gnome
openSUSE 12.3 KDE
Debian 6.05 live

Debian を除く全てを実インストール。
期間は延べ一ヶ月ですが、比較して数日程度で試用中止したものもあります。

ちょっと補足すれば、仮想環境や Live CD では Windows で言う Win PE / RE みたいな内容で起動してますから、中身は見れても実用で起こる問題を認識することがなかなか難しい。
試用チェックするなら、旧式・低容量でもいいので適当な HDD を見繕って「実インストール」での検証をお勧めしときます。


○ Ubuntu 12.04LTS / 12.10 / 13.04
Ubuntu12_10.jpg
今の私の Ubuntu 12.10 デスクトップ:壁紙は Fedora から拝借しました。

何より最多の情報量でとっつきやすく、随一の利用環境を誇りますが・・・
要求性能が「ちょっとした 3D ゲーム対応並の GPU 性能が必須」と途方もなく高い上に、ムダな機能も満載で、更にとにかく不具合だらけ。
今もトップレベルながら Ubuntu ユーザ数は右肩下がりで、その偏流は派生傍系の Mint / Lubuntu などへ向かいつつあるのが現状です。

ですが、これまで数年のダントツ人気を背景に利用環境性は高く、初心者にとってはそれら活用法や不具合の解決など学べる点も多い。
常用は動作環境次第として、ひとまずの試用や勉強用には最適だと思います。

★ Ubuntu-Unity 動作での「最低ライン」グラフィック性能
Intel HD 2000 以上
nVIDIA 8400GS 以上
AMD RADEON HD 以上

※補足:コレ以下でも動作はしますが、 CPU 負荷が半端無く増大します。
また、搭載 GPU がキチンと認識されないなどの問題もあるので要注意。
なお、この負荷は Unity compiz というデスクトップ環境(以下 WM )での描画機能によるものなので、根本的には「切る」ことが出来ません。

要注意なのは 12.10 / 13.04(β) で GPU 性能が足りない場合、システムは CPU に描画代替させること。
コレがまた非常に曲者で、ごく普通の操作でも NT 6 系 Windows 比で数倍もの CPU パワーを浪費し、動作感もメチャクチャ重くなります。
またこの描画機能がやや軽いはずの 12.04LTS も言うほどではなく、実際には派生軽量版の Lubuntu 12.10 の方が軽かったりします。
※補足: 12.10 / 13.04 インストール後に LXDE を導入( Ubuntu ソフトウェアセンターに存在)すれば、軽い Lubuntu 相当の環境も付加可能です。
ubuntu_LXDE.jpg
画像は Ubuntu 12.10 に LXDE と Cairo-Dock を追加導入した環境

ただし、グラフィック性能さえマッチングすれば適正な CPU / GPU 処理となるようでして、途端に「軽くて速い」多機能な OS に豹変します。
また、旧世代の HDD を用いても SSD で動かしているような高速の起動を見せ、その速さは Linux 以外の OS を含めても随一に感じました。


○ Lubuntu / Xubuntu / Linux mint について

Lubuntu / Xubuntu は Ubuntu 派生の軽量 WM 版ですから、単純には動作上の最軽量を望むなら Lubuntu で、僅差の次点に Xubuntu という判別で良いでしょう。
付け加えれば、 Ubuntu-Unity と Lubuntu-LXDE / Xubuntu-Xfce では見た目と各 WM 諸機能の他、適用出来るアプリ群にも違いがあります。

人気上昇中の mint 14 -Cinnamon には洗練された UI デザインなどを感じましたが
cinnamon.png
基本の中身はやはり Ubuntu の WM 違い

さらに Cinnamon では compiz デスクトップ画面装飾もバリバリに効いており、実際には Ubuntu 12.10 / 13.04 と同レベルの動作負荷がありました。
「見た目の軽快な動作感」に騙されますが、上記の軽量 WM 版 Ubuntu とは一線を画する点は留意すべきかも。

それと今のところ、日本語化が完全でないなど未完成を感じる部分も多いですね。
これらの点から「現時点では」 Mint を導入するより Ubuntu-Cinnamon などカスタマイズする方が完成度が高いのでは?と感じました。
ただ、 LinuxMint の方向性としては Ubuntu の他 Debian ベースでの開発といった独自性も感じられましたから、今後も注目でしょうか。


○ Fedora 18 Gnome
元開発者には「最悪の Red Hat ディストロ」と酷評されたそうですが、動作感そのものとしてはそんなに悪くありません。
至ってシンプルなデスクトップ UI ( Gnome3.6 系)と
Fedora18_desktop.png
大胆なメニュー表示は意外に実用的かも
Fedora18_menu.png

ですがインストール〜稼働初期では重要な操作情報が散逸しており、その辺では非ユーザーフレンドリーな印象を強く受けました。
また、 Ubuntu 比では動作感がかなり鈍く( Windows 並かな?)感じます。
その点はインストール時に LXDE や Xfce も選択できますから、動作感の改善そのものは可能でしょう。

なお試用では初期から IME が設定できないトラブルに遭遇。
Fedora_IM_Miss.png
これは不具合ではなく、ユーザ× 1 の場合「ログアウトが無い」という仕様なんだとか
悪くはないが、これといった美点も見いだせないこともあり、短期で試用終了。
過去 Redhat 〜 9 までは愛用していたので、ちょっと残念。


○ openSUSE 12.3 KDE

デザイン性もあって実用的な UI と機能
opeSUSE12_desktop.png
速いリポジトリ、詳細な導入ドキュメントなど、そつない優良ディストリでしょうか。

また、間接的に Microsoft 傘下であることから、そこはかとなく Windows との融和性が高い部分もあります。

導入時の注意点は初期ネットワーク設定を手動でする必要があること。
それと非常に気になったのは、 apt yum のように依存性を補完導入してくれるはずの YaST2 が、初期状態では機能しなかった(アプリ導入は完遂するが、依存性を満たさない)こと。
動作速度感は Fedora よりやや良いが、 Ubuntu には及ばない印象。

なかなか良いので Ubuntu と並行チェックをしていたのですが・・・
ある日(自動アップデート後?) 設定や表記は日本語のままなのに IME 文字配置だけがハングルに変わるという奇妙なトラブルが発生し、ついイラッとして利用停止しちゃいました。
個人的には過去欧州トップシェア(今もかな?)の Linux 言われていた頃はイマイチ好きじゃありませんでしたが、今のはかなり良い感じがしました。


○ Debian 6.05 Live
まずもって最新 6.0.7 DVD イメージのダウンロードが非常に遅いことにウンザリし、ややサイズの小さい旧版 Live で確認。
ちょっと古い Ubuntuといった雰囲気で、過去の Debian = CUI から自己構築を知る者としては驚愕の一言。
一方で他とは違い、今も不変の頑なで堅実なアップデート姿勢を貫いていますので、何よりも安定環境を望むには良いのかもしれません。


○各デスクトップ環境について
GUI 操作系の部分ですね。
Windows なら NT6.2 / Win8 とカーネルと GUI がセットですが、Linux では自由選択(構築)になる訳です。

Unity ( Ubuntu 標準)
余計な機能が満載で使い始めは嫌悪感すら覚えましたが、カスタマイズした上で他と比較すると「意外に悪くない?」とも思える、悩ましい使用感。
なお、動作が「重い」のは上記のようにグラフィック性能不足からくるものなので、要求性能さえ満たせば、高速動作します。

Cinnamon ( Mint Nadia 標準)
美的でシンプルかつカスタマイズ性もあり、人気急上昇中の環境。
Windows Vista / 7 からの移行だと、最も違和感がない形式かも。
ただ先に Ubuntu を経験してしまうと、 Unity より遠回りな操作系もあり、一見素晴らしいが「 GUI 操作系としてはデザイン優先の UI かなぁ?」という感想。
まぁ Linux を扱うならコマンドで、と言われちゃうとそれまでなんですが・・・

LXDE ( Lubuntu 標準、他)
軽量・高速を望むなら、迷わずコレという環境形式。
でも「軽量」ってのは Linux 上での話であって、負荷率⇔動作感としてはこれでやっと Windows 同等というレベルなんですよね。
よく見ると部分グラフィックがイマイチなんですが、表面的にはなんとかしてみました的な体裁もあり、なんというか微笑ましくも実用本位な存在。

Xfce ( Xubuntu 標準、他)
LXDE 同様、こちらも軽量デスクトップの代表格。
実のところ Windows からの Linux 移行で「重さ」を感じたくないなら、コレか LXDE しかありません。
カスタマイズ可能なんですが、個人的には一昔前の Windows / Linux ルックになるのが嫌いで忌避しちゃってます。

GNOME KDE (共に多くの Linux で標準形式)
ホントはここが基本なんですが、今や上記のスピンアウト組がカスタム形式や標準でも主流になりつつあり、明示的に選択する場面はぐっと減ったかも。
Windows からの移行なら KDE の方が違和感が少ないが、より Linux らしさを得たいなら GNOME でしょうか?

○ファイルマネージャについて
ざっと試用ディストリ標準の感想だけ。
これは Windows で言うところのエクスプローラですね。

Nautilus ( GNOME 系で標準)」
やや重く、ややフォルダ操作性に欠けるが、プラグインによる発展性が高い。
なお「重い」というのは相対論であって、仮に Ubuntu 12.10 動作を満たす環境下なら、「軽量」とされるファイルマネージャより素早く描画しますよ。

PCManFM ( LXDE 標準)」
Nautilus とは対局的にシンプルで軽いが、必要十分な機能も有する。
一部ユーザには不評のご様子でしたが、私はかなり好ましく感じました。

Nemo ( Mint 標準)」
見やすく、好ましい操作性を感じましたが・・・評価できるほど使ってません。

Dolphin ( KDE 標準)」
重く操作感もイマイチといった印象しかありません。

Thunar ( Xfce 標準)」
人気があるようでしたが、私は未チェックです。


○まとめ
利用環境が豊富でいじり甲斐がある点で、一押しはやはり Ubuntu です。

ちなみに、どうせ現行全バージョンでカーネルなどの更新ごとに毎回のように X 周りにトラブル発生しちゃうんで、初心者は「安定性を重んじて LTS 版」とか言わず勉強のためにも常に最新版を追うことお勧めしときます。
ちなみに 12.10 と 13.04(β) は殆ど変わりません。

なお、デスクトップ機でグラフィック性能がイマイチ足りないなら、
玄人志向 nVIDIA GF-GT520-LE1GH
とか
GIGABYTE Radeon HD6450 GV-R645-1GI
とか挿しとけば、三千円台の投資で Ubuntu 本来の動作感(実は一番軽快)が味わえますよ。

次点は Lubunti , Xubuntu , Mint-Nadia の順なんですが・・・何のことはない全て Ubuntu 系ですね。

Ubuntu 系は嫌というなら openSUSE がまぁまぁと感じましたが、人と同じのは嫌とか Linux らしいディストリが良いなら、今回は紹介してませんが Arch Linux とかお勧めです。(ただし正直、初心者にはキッツいですよ)

なお各ディストリ機能+各種アプリだけでも十分 Windows と置き換え可能ですが、今や Wine VirtualBox など仮想環境さえあれば、「どうしても使いたい Windows ソフト」もさほどのロスなしに動きます。
私も最初はちょっと試用のつもりでしたが、何不自由ない上に弄るのが楽しく、今現在はメイン PC を Windows 7 から Ubuntu 12.10 に置き換え、 Ubuntu 上の VirtualBox で Win7 を補完運用する形にしちゃいました。

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