
「 Linux を PC デスクトップとして利用する」
この経験に基づく、入門・移行でのアドバイスなど書いてみます。
えっ?
『そもそも " Linux " とは " PC デスクトップ " を指すものではない』ですって?
あぁ...えぇそうですね。 でもウチはそんな原理主義めいた話は扱いません。
あくまで Windows のように「パソコン」として使う場合の話をしてます。
ってかさ、キーワードに " Linux " を含めて情報検索しちゃうのは・・・
実は大多数が入門・初級レベルな Linux デスクトップ・ユーザーのハズ。
大仰なタイトルもまた、その辺を織り込んだアイキャッチに過ぎません。
○はじめに
以下では幾つかを「ムダ」「不向き」など、バッサリ切ちゃってます。
でもまぁ、それらは経験ゆえに効率に割りきった思索をした場合の話。
興味があり、時間を惜しまないなら、自身で確認しても良いでしょう。
あと私は現 Linux ユーザですが「信奉者」ではありません。
使いたい方が使えば良いし、そうでない方には他 OS ・デバイスをお勧めします。
ってか Linux 運用なんて、たぶん世間では『 PC オタク』とされる方向きですね。
○入門者を惑わす欺瞞
☆『( Windows より)軽い』『旧式 PC でも軽快』など軽量論
典型的な欺瞞:「 Linux なら Windows サポート切れ世代 PC も軽快動作」とか
⇨コードや GUI を省力化しても、元から無い機能や性能など補えない
⇨単純な話、結果は市価数千円の旧型スティック PC にすら劣る可能性
或いは「Win 比で機能や互換性が貧弱だから」と言われたら印象は違うでしょ?
これは Linux での「軽量環境・アプリ」も同様で「軽い=プア」とも言えます。
☆『 GUI =初級』『 CUI =中上級』など似非技術論ないし向上論
こうした憧れや意識も習熟意欲には好影響と思いますが、目指す場によります。
例えば「 GUI で初歩を学び CUI に挑戦」なんて、大きな錯誤かつ最悪の遠回り。
⇨「ゲームクリエーターを目指し、パズドラをやり込む」にも似た妄想
⇨ デスクトップ用途なら、コピペから始めてちょっと慣れるだけで十分
いやまぁ入門者向けの説明では、便宜上そういう区分の場合もありますけどね。
逆言うと「デスクトップ用途」でこの煽りを使うのは、知ったかの初心者だけ。
※考察
この辺って PC がやや高額で、その使いこなしも羨望だった時代の名残りですかね。
その世代の亡者や隠遁者が吹き溜まる・湧きやすいのが、Linux ユーザ界の低暗部。
彼らは現世が恨めしく、その淵にいる者を仲間に引き込もうと誘っています。
○要求される下限 PC スペックとは
まぁ「現行 Windows 及び、主要なブラウザが支障なく動作の PC 」ですね。
大まかな識別点で言うと、過去 5 年以内の PC 専用構成が望ましいでしょう。
えぇ、そうです「じゃあ Linux 必要ないじゃん」とか思う方には全く用無し。
⇨満たせないなら XP オフライン稼働の方が軽快かつ実用的では?
⇨一年前後で旧態化する最廉価 PC やタブレットすら、同等能力
※備考
何はともあれ、Linux は PC 等を買い換える気がない方の避難所ではありません。
ちなみに CUI サーバでも、上記レベルの性能がないと低価格な専用機に劣ります。
テキストベースな開発?本当にソレに言及できる方は、こんなゴミ PC 使いません。
仮に軽量化などで対処を学び好転したとして、それは仄暗い底の住人への第一歩。
▷参考:現行・最廉価帯の PC 基礎構成は 1.5 万円前後〜
起動時ライブラリ読み込み(機能)の少ない Linux では、SSD にさほどの効果ナシ。
製品としては十年前から存在する、Read 100MB/s 級の HDD でも軽快に動作します。
M/B : H110MHV3 ¥ 6,180
CPU : Celeron G3900 ¥ 4,360
RAM: W4U2400CM-4G (4GBx2) ¥ 4,175
○入門者が避けるべき稼働手法
たぶん以下は、おっかなびっくり導入(検討)するゆえに陥りがちかと。
初期習熟の効率からも、最善策は「相応性能の専用 PC を準備」のこと。
▼「(単一ディスク上での)デュアルブート」
古より入門者を阿鼻叫喚へと突き落とし、結果 Linux を逆恨みさせる因果律。
ってかさ、この手は古い情報のハズなので、まず情報検索力から見直すべき。
⇨物理的に(個々のシステム・ディスクで)デュアルブートすべし
例)Windows Disk = EFIboot 、Linux Disk = Leacyboot にてインストール
常用(ローカル接続) OS : BIOS / UFEI 設定でディスク起動順を二番にする。
常用しない OS :同起動順を一番とし、リムーバブルで随時接続して起動する。
▽「(ローカル端末での) Linux の仮想運用」
Windows ユーザーが慣れ親しんだ仮想化は Linux に全通用せず、設定も面倒。
もし目的が OS 共生なら「ホスト:Linux 」「ゲスト:Windows 」が好適です。
⇨ホントに実用・検証するなら、専用サーバ( VPS )から始めるヨロシ
○「 PC デスクトップ向き」ディストロ
まず Linux デスクトップなんて、根本的な成り立ちは同一。
じゃあ違いは?ってぇと、各ディストロの開発方針とその遂行力(人・資金)。
で、この用途では Linux で「先進的」とされる内容が必須、もしくは好適です。
「枯れて安定」など評は「クッソ旧くて使いモンにならん」と読み替えるべし。
まぁハッキリ言えば「 Ubuntu 系」か「 Fedora 系」のみです。
☆ Ubuntu
標準構成は最新・先進とまでは言い難いけど、周辺コミュニティ開発群が強力。
何より日本語チームが素晴らしい仕事をしており、その信頼感は唯一無二かと。
☆ Linux Mint ( LMDE を除く)
他者への推奨を尋ねられたら、原典の Ubuntu よりこちらを先に挙げるかも。
Ubuntu 改良版に収まらず、Linux 界で最もユーザー本位な開発を感じます。
※備考
Debian を上流にもつディストロの短所は、標準・公式の構成がやや旧いこと。
この点は " PPA " などの非公式構成が改善するものの、導入と管理がやや煩雑。
△ Fedora
全くの初心者に勧めて良いか迷いますが、現時点での最良として推奨します。
なお標準・規定構成には一部難点もあるので、その辺の理解に努めて下さい。
「実験的な構成で不安定」なる定評は奇異と感じますが、そう思う方も居ます。
※備考
同二大ディストロでは、個人改定を含むフォーク(派生)が濫造されています。
趣味性でのデザイン違いなら良いけど、凝った造り・独自機能なヤツは要注意。
開発力の不足や独自方針から問題も起こりやすく、入門においては時間のムダ。
○「 PC デスクトップ不向き」ディストロ
「コマけぇことは良いんだよ!」なら、上記以外は全てダメ解釈で良い。
それらを一々挙げてくとキリないんで、まぁ有名なヤツだけね。
▼ Debian
ビッグネームかつ Ubuntu 上流だが、そもそも「PC デスクトップ向け」でない。
また、やや GNU 思想の強い構成追求の結果、PC 活用にはデメリットも生じます。
現実問題その辺を改善したのが Ubuntu なのだから、敢えて選択する意義は薄い。
▼ Cent OS
かなり雑に言えば Debian と似たり寄ったり。( PC デスクトップ向けは Fedora )
※追補
まず共に GUI 形式の iso 提供だが、それが入門者の錯誤を生む遠因になっている。
問題は少々慣れただけの初級者が、あたかも最善・最良が如くに吹聴してること。
⇨功績含めレジェンドな存在ゆえか、PC 初級者ほど無為に崇拝
⇨ GNU 信奉や Linux 界の政治論に由来など作為的な推奨もある
ただ同理解の上で用途合致の構築を行う場合には、無論のこと正当評に値します。
⇨一方で「開発」など特定作業だけなんて、平易な PC 用途とは乖離
ある意味では「 Linux = PC デスクトップを指すものではない」の好例かもね。
▷openSUSE
海外では高人気でコミュニティ系も強いが、開発は停滞ぎみ。(次世代系へ注力?)
現状は(本家) SUSE との開発統合化から、見掛け上の存続を図っている感が強い。
なお近年目まぐるしく母体の企業体系が変遷しており、開発の方向性を見守るべき。
○デスクトップ環境
ここはホント言うと、開発面でディストロとセットの話なんですけどね。
例:「 A ディストロの KDE 」と「 B ディストロの KDE 」は全く同一ではない
まぁソコは置いといて概論として。あとは好き好きで。
▼ GNOME 3 ( GNOME-shell )
次世代へ最右翼?な UI や描画方式( Wayland )を持ち、カッコ良く軽快。
ただし、その全てが従来デスクトップ形式では使い難い・あるいは難アリ。
それら不評ゆえか、ユーザ数は Cinnamon などフォークの半分程度の模様。
▷ Unity7
Ubuntu における GNOME 3 フォーク(新旧ハイブリッド UI )の主環境。
ユーザ数の多さゆえか不評も多いが、実際はそこまで酷くないとは思う。
最新系 GNOME Shell に呼応する、 Unity8 ( Mir ) は次期 LTS から?
△ Cinnamon
Linux Mint における GNOME 3 フォーク(従来風 UI )の主環境。
在来デスクトップ形式では、全般に最も使い易いと感じる。推奨。
▷ MATE
Linux Mint における GNOME 2 フォーク+GNOME 3 ハイブリッドな主環境。
元来 GNOME 2 愛好家向けのやや特殊な環境だったハズだが、今や広く人気。
恐らく同時期にコケた(現存だが開発停滞) LXDE/LXQt の代替需要かなと。
その素晴らしい開発継続には敬意を抱くが、ちょっと独特な構成かもね。
▷ Xfce
GNOME 2 系と同世代の長寿環境で、シンプルだが柔軟な拡張性を持つ。
国内外共にそこそこ人気があり、ゆっくりとだが開発も継続されている。
設定・拡張の自由度が高い反面で、素のままでは使い難いかもしれない。
▼ KDE
構成アプリなど個々には素晴らしいが、環境全体としては混濁の印象。
また、ディストロ独自でのサポートが無いと、日本語環境はほぼダメ。
このため海外ではかなり人気があるが、国内では真逆評となっている。
▼ LXDE / LXQt
長く軽量環境の代名詞的存在だったが、ほぼ個人プロジェクトゆえ開発遅滞。
数年前に軽量版 KDE たる Razor-qt と統合を図るも= LXQt 、こちらも遅滞。
実質的には各ディストロやコミュニティのサポート無しにはオワコンな存在。
上述の「軽量」崇拝経緯もあり、過去に定番化⇔現状との矛盾を生んでいる。
※備考
Linux オタク論としては GTK+ ( GNOME ) 系 ⇔ Qt ( KDE ) 系の各支持派アリ。
論理的な主張は Qt 系の方が好ましく感じるが、現実的な主流は GTK+ 系の方。
というか何故か? Qt(もしくはそれに転じた派)系は開発力に乏しい弱小派。
○新しい技術
いや、ちゃんとした技術論ではなく、目につくであろう単語にアレな解説。
☆ Wayland ( GNOME ) / Mir ( Ubuntu )
従来の " X " という仕組みを代替しようとする GUI 提供プロトコル。
⇨理由: X はもう旧く冗長でセキュリティ面にも問題がある
理屈はナルホドだけど、最大の問題は在来アプリ全てに動作・描画影響が出る点。
一般公開の登場期から既に数年経過、来年には良くなるとか、絶対あり得ません。
⇨一言、「待て あわてるな これは孔明の罠だ」
※備考
単純な解決策は、標準構成以外のアプリ・ライブラリを「絶対に」使わないこと。
また、それでも問題ある際はバグを挙げるような熱意ある勇者のみに推奨される。
☆ Project Atomic , Ubuntu Snappy そして Docker
簡潔には次世代クラウド OS の一端で、各社が鋭意開発(や囲い込み)に躍起。
ちなみに起源は「 Decker ( typo じゃないよ!)」と「 Core OS 」ってヤツ。
⇨登場期に競合の二者が Linux Foundation へ仲裁委託し、確立
⇨最大の特徴は「プラットフォームや OS に縛られない」システム
※備考
同じクラウド分野でも、SUSE だけは少し別のアプローチ: SUSE Studio
同方式は IT 各社にとって「諸刃の剣」で、OS などの独自環境が無意味になる。
近年 MS 社が Linux に接近の報があるが、現実は新たな 3E 戦略の発露かもね。
⇨ IT ベンダからネットワーク・キャリア化=ライブ・ユーザの争奪戦へ
⇨初期支援は Google で、後に Amazon , Microsoft 等クラウド勢が列席
OS や端末に縛られない:夢のような話だが、現時点で民生用途の有効性は無い。
また業界にとってもブレークスルーながら、どういう収束になるかは少し先の話。
⇨在来で言うと、シンクライアントやリモート・デスクトップに相当
⇨規模のある業務環境には非常に有効だが、単純な PC 代替には未熟
この辺が近年 Linux を含む開発面での「 PC デスクトップ=オワコン」実情かな。
一方では PC が「コインタイマー式のテレビ」化する話で、良い夢とは限らない。
⇨大手 IT 系に加え大手投資会社も参画し、商業路線としては確定か
⇨同偏重なら全てを切り売り=パーソナル・コンピュータは無くなる
なお、これらコンテナ・仮想分野で Linux がメジャー化なんてことは有り得ません。
企業の枠を超える開発区としての存在感は示せても、逆言うと非商業性の成せる技。
ちなみに Redhat は Docker 直球勝負、Canonical は例によって独自路線みたいです。
年末だしね、少々張り切ってアレコレ書いてみましたよっと。
考え違いとかあっても、場末の個人ブログってことで堪忍してつかぁさい。
個人的に今熱中してるのは Android / Chrome OS と ARM 系端末ね。
もうラズパイ遊びしなくても、十分に実用的な ARM 端末がイッパイあるよ。
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